東京高等裁判所 昭和34年(ラ)147号 決定 1959年4月20日
抗告人 上条義明
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告理由は別紙抗告状中抗告の理由(うつし)のとおりである。
しかしながら、仮執行の宣言のついた判決にたいし控訴を提起するとともにその強制執行を一時停止すべき旨の申立があるときは、裁判所が保証を立てしめ、または保証を立てしめずしてこれが停止を命ずることができることは民事訴訟法第五百十二条の明定するところである。しかして、この場合においては、必ずしも申立人の不服の理由として主張した事情が法律上理由ありとみえ、かつ事実上の点について疎明があることを必要とするものでないことは同法第五百条第一項との対照上からもあきらかである。されば原審裁判所が申立人の勝訴の見込の有無について審理をなさず、本件停止決定をなしたとしても違法ということはできない。
すなわち本件抗告は理由がないからこれを棄却することゝし、主文のとおり決定する。
(裁判官 牧野威夫 谷口茂栄 満田文彦)
抗告理由
一、相手方の強制執行停止命令申請の理由は単に本案訴訟に於て勝訴の理由あるに依り控訴申立をしたと云ひ従つて強制執行の停止を申請すると云うにある
二、然し一件記録を通読すれば相手方及申立外田中清英に何等土地を使用する権原のないことは明白で殊に此点に付ては申立外関根昇(相手方と共に原審の相被告)が自白するとこに依て一点の疑もない
三、相手方は徒らに訴訟を引延して強制執行を遷延せしむる目的を以て控訴の申立を為し且強制執行の停止申請を為したるものであるに対し原裁判所は申請の理由に付審理を尽さず輙く認容したるは失当である
申立外関根昇は控訴申立をせず原判決は確定し既に建物の収去決定を受けている
右の通り陳述します